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ゲームオンチ的レビュー:「BINARY DOMAIN(バイナリー ドメイン)」

びっくりするぐらいちゃんとしたシューターBINARY DOMAINバイナリー ドメイン

日本の龍が如くスタジオ制作のTPS。

カバー(遮蔽物に身を隠す)アクションを多用するGOWライクな一本道のシューターです。

純粋なシューターで、アンチャーテッドのように謎解きやシューター以外のアクション要素が入ることもないです。

日本のゲームらしいというか、TPSだからだと思うのですが、ムービーが結構長めに入ります。

「なんで肝心なところで」というドラマチックな場面に限ってプレイできずにムービーになるのは、いかにも日本的かもしれません。(そこはムービーじゃなくてプレイヤーに撃たせろよ、という場面があります。)

ただ、あくまで個人的な見解になるのですが、プレイヤーが主人公になりきることを目的としたFPSとちがって、TPSの場合には視点は客観的な視点になるので、途中でカットシーンやムービーが挿入されたとしてもゲームの没入感が薄れるということはないのではないでしょうか。

一人称の場合だと、カットシーンで主人公=自分が、思ってもいないようなことを喋りはじめると興ざめですが、三人称だとそういった演出も許されそうです。

このあたりはRPGでも同じですが、一人称視点のゲームだと主人公が喋るだけでも没入感が台無しになるけれど、三人称だとどんどん喋ってくれても問題ないという気がします。そういう意味では日本では三人称視点のゲームの方が人気があるのもわかる気がします。(日本ではアニメや漫画のように主人公にも「キャラ付け」されているのが当たり前ですからね。)

アンチャーテッドではネイトがくだらないお喋りをしていても映画を見ているような感覚で気になりませんが、バイオショックで主人公ジャックがペラペラ喋ったら許せないという気がします。

ゲームの中身についてですが、三人称視点シューターとしてはオーソドックスではあるけれども、十分に及第点に達していると思います。

つまり、不満はないです。

武器の種類があまりに少ないため、ちょっとマンネリ感はあります。

ただプレイするとわかるのですが、敵がロボットであるというのは、シナリオ上面白いからそうなっているわけではなく、あくまでゲームとしての面白さを出すためにちゃんと一役買っています。

一つには、ロボットであるが故に四肢を失っても這ってでもプレイヤーを攻撃しに来ます。(ただし、Dead Spaceのネクロモーフのように手足を失ってもアグレッシブに襲いかかってくることはないです。ほとんど死んでいるので、すぐにとどめは刺せます。)

しかも人間と違って文字通り敵が硬いので、撃ち甲斐があります。

撃ったときの感触も生物と違って硬質で、新鮮です。最初はただそれだけで面白いです。

ロボットは最後に爆発してくれるのも、爽快ですね。

あと、もう一つ重要なのは、ロボットは頭を失うと制御を失い敵を攻撃しはじめます。

さっきまで味方だったロボットに襲われるロボットたちの慌てぶりを見るのは、ちょっと面白いです。

いうまでもなく、腕のいいゲーマーにとってはヘッドショットを積極的に狙う理由になります。(このあたりは意外なほどちゃんとしたシューターになっています。)

カバーアクションのあるTPS自体、家庭用ゲーム機と相性のいいプレイスタイルなので、コントローラーでプレイした方がずっと面白いです。マウスだと簡単すぎます。

ゲーム紹介ムービー

だいたいのシーンが仲間の中から二人を選んでNPCと一緒にプレイすることになります。

AIは賢いとはいえず、けっこう後ろから撃たれますが、死にそうになると助けに来てくれます。

音声認識による作戦指示が出来るのが売りですが、個人的にはほとんど指示することはありませんでした。

ドラゴンエイジオリジンズ的というかサクラ大戦的というか、NPCの好感度を左右する選択肢が出てくる会話が希にあります。

各キャラクターともに、びっくりするぐらい常識人なので、全員に倫理的に間違いのない返答をしておけばまったく問題ありません。

ひねった回答なんて一つもないです。

登場人物が全員同じ倫理観の持ち主で、かつまじめな常識人という無個性さが日本のゲームらしいところです。

逆にいうと、ほとんど選択する意味がないというか、なんでこんな好感度のシステムを導入したのか疑問です。(もちろん一本道なのでMass Effectのようにその後の展開が左右されることもないです。指示に対して「今は無理」と言われて、無視されることはあります。ですが、指示しなくてもクリアに問題ないのでどうでもいいかと。)

ボリュームはシューターとしては長めだと思います。ムービー全部見てのろのろプレイして14時間もかかりました。(ちなみにノーマルです。ハードだと本当にハードです。)

最初に体験版をプレイしたときには、そのあまりのチュートリアルのつくりの下手くそさに吐き気がしましたが、プレイしてみて良かったと思いました。

体験版で説明的セリフの多さに、「やっぱり日本のゲームは糞だ」と思った私のような人でも一度はプレイしてみてもいいのではないでしょうか。(最初のチュートリアル的場面さえクリアすれば、その他のシーンは意外にまともです。)

カバーシューター好きな方には、十分にプレイする価値のあるゲームといえると思います。

ちなみにPC版の日本語化ですが、よくあるレジストリの書き換えや有志が日本語化した海外ゲームのまとめ Wiki*に記載されているappinfo.vdf弄る方法では、日本語化されるものの、最初のムービーの途中でロードになったまま、まったく先に進みません。

セリフの英語音声すらでませんので、まったくプレイできません。

イレギュラーな日本語音声ファイルを入手することでプレイできるようですが、日本語化目当てにPC版を購入する方は注意が必要なゲームです。