リビングの中心? オールインワン? なにかが違う気が
Xbox Oneのインターフェイスは次世代テレビ向きなのか?

さっそくゲーミング・ハードウェアとしては評判の悪い
Xbox Oneですが、個人的に
Xbox Revealを通じて感じたところを例によってだらだら書き記したいと思います。
次世代
Xboxは
Xbox Oneという
PS One的な名称であることがまず明らかになりました。
Xbox Revealの前半は大半が
Xbox Oneのテレビ機能と、そのオペレーションについての紹介でした。
ゲーミング・ハードとしての
Xbox Oneには、個人的になにも期待するところがなかったため、ゲーミング・ハードというよりは次世代テレビ用セットトップボックスとしての機能の紹介に重きを置かれたことは、なにも意外ではありませんでした。
ただ、内容は完全に期待はずれというしかありません。
Xbox Oneが示した次世代テレビの操作は、なんと新型
Kinectを使った「ボイスコン
トロール」&「
ジェスチャー・コン
トロール」です。
Kinectが音声を認識して、ゲームとテレビ、テレビとゲームをシームレスに切り替えてくれる様子などがデモンストレーションされましたが、これは次世代テレビ=
スマートテレビの操作方法としてあまりスマートではありません。
いまでも
Kinectのまえで色々喋っていたらうっかりBingがなにか検索していた、なんてことがありがちなのに、これではゲームをしている最中にうっかりテレビの話など出来ません。
なにか喋る度にゲーム画面がテレビに切り替わってしまいそうです。(だいたい
Xboxでゲームをしている最中に、テレビを見たい人なんているのでしょうか?)
ジェスチャーだって、
Kinectの性能が上がって感度良好らしいですが、これ誤作動しないのでしょうか?(いや、絶対するでしょう。)
PS4のゲームパッド
スマートテレビが巨大な
iPadのようでいてまったくことなる最大のポイントは
iPadは手に持って操作するもので、テレビは離れたソファから操作するものだということです。
従って、
スマートテレビのOSはPCとも
スマートフォンとも違うものでなればなりません。
もっともスマートな操作方法のひとつは、
Wii Uゲームパッドのようなリモコン=
シンクライアントを利用してテレビをリモート操作することでしょう。
しかしこれにはバッテリーがもたないという弱点があります。(毎日充電する必要のあるテレビのリモコンなんて、願い下げです。)
ソニーが
PS4のコントローラーに取り付けた
タッチパッドは、このバッテリー問題を巧みに解決しているように見えます。(使いやすいかどうかはわかりませんが。)
Kinectでの操作も悪くはないのですが、現状
Xbox360の
Kinectでのコン
トロールは非常にイライラするものです。
案外、
PS4の
タッチパッドの方がシンプルでよいかもしれません。
Forza Motorsport 5など、新規タイトル

塗装の質感まで見事に再現された
Forza Motorsport 5は圧巻でした。
ただ、
NFLとパートナーシップを結んでファンタ
ジーフットボールを
Xbox Oneで再現するというアイディアは、あまり感心しません。
なにしろ
PS4ではプレイ動画をリアルタイムに公開できるのですから、プレイヤーが勝手に世界大会だって開催できます。企業が主導して行う必要さえありません。
テレビドラマと連動するQuantum Break

ドラマや映画のようなゲームをつくることに定評のあるRemedyの新作はテレビドラマと連動するゲーム「Quantum Break」です。
Defianceとまんま同じコンセプトです。
これも
マイクロソフトが精一杯考えた次世代テレビらしい機能ということなのでしょう。
他にもHaloのテレビドラマシリーズ化も発表されました。
テレビにすり寄った姿勢を示すことで、
Xbox Oneのセットトップボックス機能をアピールする狙いもあるのでしょう。
マイクロソフトと
Xbox Oneは
CBS、
NBC、ABCなど大手テレ
ビネットワークと密接に結びついて、テレビの次世代化を推進します、大手テレビ局とのパートナーシップを大事にします、ということなのでしょう。
この感じ、非常に既視感があります。
大手レーベルとのパートナーシップを大事にしすぎて失敗した
ソニーのbitmusicだとか、大手出版社とのパートナーシップを大事にして失敗した数々の
電子書籍配信サービス(
koboなど)と、同じ匂いがします。
こういった非デジタル時代の既得権を持つ大企業とのパートナーシップは、結局ユーザーの利便性を損ない、
イノベーションを損なう結果になることを歴史が証明しています。
時代にあわないアナログ時代のサービスを、
クラウド時代のサービスに最適化させることなど出来ないのです。
例えば
Amazonの
Kindleが成功したのは、そこでしか購入出来ないユーザーによるセルフパブリッシングのコンテンツがあるからです。(現在、北米での
電子書籍の売上げは全書籍の半分以上を占め、そのなかの半分は個人の出版物だそうです。)
そこではもちろん大手出版社の書籍も売れていますが、本屋に平積みしてもらえば売れるというビジネスモデルは通用しません。
平積みしてベストセラーを生み出すことしか知らない大手出版社にとっては、
電子書籍などさぞや迷惑な存在でしょう。
電子書籍に参入しますと口ではいいながら、どうにかして足を引っ張ろうと必死になるのも当然です。
今回、
マイクロソフトは将来かならず次世代テレビの足を引っ張るに違いない勢力と、ずいぶん仲良しに見えます。
電子書籍や音楽やゲームのデジタル配信といった
クラウドコンテンツの良さは、書店で平積みされている本以外の本も売れる、本屋には入荷すらしないマニアックな本でも売れる、という
ロングテール効果の恩恵を受けられるところにあります。
ゲームでいえば家電量販店では販売出来ないインディーゲームでも、内容さえ面白ければ大ヒットする可能性があるわけです。
逆にいえば
スピルバーグが指揮を執るブロックバスターのテレビドラマや、EAスポーツのミリオンセラーのゲームには
クラウドも次世代テレビも必要ないのです。
メジャーな有名コンテンツより、ニッチなコンテンツに手軽にアクセスできるのが
クラウドの良いところなのに、
マイクロソフトは今回
クラウドクラウドクラウド……と
クラウドを連呼しながら、時代に逆行するメジャーコンテンツばかりをドヤ顔で自慢するという失態を犯しています。
この
マイクロソフトの姿勢は、
ソニーが
PS4でゲーム体験を共有するユーザーコミュニ
ティーやインディーズゲームに焦点を当てたのと、あまりに対照的です。
この実に古くさい次世代テレビ観の披露を目にする限り、
マイクロソフトは
クラウドのメリットをほとんど理解できていないのではないかと思わざるを得ません。
マイクロソフトが時代に逆行していく様は、まるでバブル時代の成功体験から抜け出せず頑迷に80年代にとどまりつづけるフジテレビのようです。
リアルになったCall of Duty Ghosts
Xbox Revealでは、最後にエモーショナルな体験を生み出すというリアルになった「
Call of Duty Ghosts」が紹介されました。
テクスチャがリアルです。
リアルになればエモーショナルになるのはよくわかるのですが、それと
Call of Duty Ghostsの物語に感情移入できるかどうかは別問題です。
写実的になればなるほど、数十人の兵士を殺し続けるスーパー兵士がどれほど非現実的な存在か浮かび上がるだけのような気もします。
Call of Duty Ghostsは
Call of Dutyの大きな曲がり角になるかもしれません。
超リアルなワンちゃん
Call of Dutyで~というより、
Fallout 4でこんなドッグミートと旅をしたいと思わせてくれるリアルな犬です。
やはり次世代凄い。
以上、例によってとりとめもないことを書いてきましたが、次世代テレビの未来がのぞけるかと期待したのですが、結果的にそこにあったのは古くさい90年代の延長に過ぎない未来像という実につまらないものでした。
マイクロソフトが
Xboxリリース以来
Xbox Oneまでにやったことは、ポリゴンを増やし、
Xbox Liveのサーバーを大量に増やしたことだけのようです。
期待はずれというしかありません。
(※2013年5月22日 15:39一部追記)